会社設立は専門家にしかできない手続きというわけではなく、個人で進めることも可能です。
そのため専門家に依頼せず自分で会社設立手続きを進めることもできます。
ですが自分で進めるとなると依頼費用はかかりませんが、その分時間と手間がかかります。
この記事では、会社設立を自分で進めるか専門家に依頼するか、どちらがお得であるかを解説しました。
会社設立を自分でやるメリット・デメリット
まず、会社設立を自分でやるメリット・デメリットを紹介します。
自分で進めることに関するメリット・デメリットを把握してから検討することが必要です。
自分でやるメリット
会社設立手続きを自分で進めるメリットには以下のようなものがあります。
- 専門家に依頼するときのような報酬が必要ない
- 会社設立に関する知識やノウハウを身につけることができる
- 自分の好きなペースで進めることができる
最も大きなメリットは費用面です。会社設立には定款認証代や登録免許税がかかりますが、専門家に会社設立を依頼するとプラスで依頼報酬がかかります。
自分で会社設立をするのであれば当然この部分が発生しないため、費用が安く済みます。
また、会社設立に関する知識やノウハウをつけられることもメリットのひとつです。会社設立は頻繁におこなうものではありませんが、今後も会社設立をする可能性があるのであればそちらで生かすことができます。
さらに、自分の好きなペースで進められるというのも大きなメリットです。専門家に依頼する場合、相談や面談の日時を調整したり納期の要望をある程度打ち合わせしなければなりません。自分で会社設立をするのであればスケジュールを好きに組めますので、ペースが狂う心配がないです。
自分でやるデメリット
自分で会社設立をすることにはデメリットもあります。特に大きなデメリットは以下の通りです。
- 手間や時間がかかる
- 不慣れ故に間違えてしまう可能性が高い
- せっかくつけた知識やノウハウの使い道がないかもしれない
何よりも大きなデメリットは、会社設立のために手間や時間がかかることです。作業そのものの手間はもちろんのこと、会社設立に関して調べたり知識をつけたりすることにも時間がかかります。
事業に使うための時間を会社設立に回さなければいけないので、場合によっては減った売上額のほうが専門家へ依頼したときの報酬よりも高くなってしまう可能性があります。
また、多くの人にとって会社設立は初めての経験です。何事も最初や慣れないうちは間違いが発生しやすく、会社設立に関してもミスをしてしまう場合が多いです。公証役場や法務局とのやり取りも大変なため、そうなると二度手間になってしまいますしストレスにも繋がります。
さらに、会社設立を一度しかしない人にとって、会社設立のノウハウはその先生かせるものではありません。他で応用できるような知識とは言いづらいので、苦労して知識ノウハウを身に着けたものの、その後使わないということが起こりえます。
専門家へ支払う報酬が節約できる分、時間や手間をかける必要があります。また、どんなに注意していても不慣れなうちはどうしてもミスが起こりやすく、ストレスの原因です。そうしてせっかく身につけた知識もその後生かすことができない可能性が高いです。
自分で会社設立をする場合の費用
自分で会社設立をする場合と専門家に依頼する場合の比較をするためには、それぞれでどれぐらい費用がかかるかを検討する必要があります。
まずは自分で会社設立をする場合に発生する費用です。
会社設立には大きく次のような費用が発生します。
- 定款認証代
- 定款用印紙代
- 登録免許税印紙代
定款認証代とは、定款を認証する際の公証人手数料および謄本2冊の金額です。株式会社の場合は公証人手数料の50,000円と謄本代の2,000円がかかります。合同会社の場合は公証人手数料・謄本代ともに必要ありません。
株式会社と合同会社を自分で設立する場合の費用をまとめると、以下になります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
公証人手数料 | 50,000円 | – |
謄本代 | 2,000円 | – |
定款印紙代 | 40,000円 | 40,000円 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
合計 | 242,000円 | 100,000円 |
紙の定款を使用するのであれば、印紙代40,000円がかかります。こちらは株式会社・合同会社共通の費用です。電子認証の場合はこの印紙代がかかりません。
また、登録免許税として印紙代を支払う必要もあります。印紙代の額は会社形態によって異なります。
株式会社の場合、印紙代は150,000円と資本金の1,000分の7の金額といずれか高い方の金額です。合同会社の場合、印紙代は60,000円と資本金の1,000分の7の金額といずれか高い方の金額です。
また、定款を電子認証で作成する場合、必要ソフトの購入で費用が発生する可能性があります。
専門家に依頼して会社設立をする場合の費用
続いて専門家に依頼して会社設立をする場合の費用を紹介します。
そもそも誰に依頼するかという問題がありますが、会社設立を依頼できる人として挙げられるのは司法書士・弁護士・公認会計士・社会保険労務士・税理士・行政書士などです。
ですが法務局への登記は司法書士の独占業務ですので、会社設立の全てを依頼するのであれば司法書士に依頼をするのが一番確実です(弁護士・公認会計士も可能ですが、会社設立の専門家ではありません)。また、司法書士に依頼する場合は、税理士の顧問契約のようなものがありませんから、トータル的に見るとお得と言えます。
一般的な税理士と当司法書士事務所の費用を比較してみました。
司法書士に依頼する場合、自分で会社設立をする場合に発生する定款認証のための公証人手数料や登録免許税印紙代などに専門家報酬が追加される形となります。
当記事が掲載されている木村光太朗司法書士事務所では、株式会社設立の報酬が88,000円、合同会社設立の報酬が78,000円、その他の法人設立の費用が78,000円です。電子認証をするため、定款に貼り付ける収入印紙代は必要ありません。
また、会社設立後のサポートも行っていますので、もしご興味あればお問い合わせください。
まとめ
会社設立を自分で進めると司法書士等へ支払う専門家報酬がなくなるかわりに、手間と時間がかかります。
専門家に依頼する場合は報酬の支払いが必要ですが、手間がかからずその分の時間を事業に使うことができます。
自分で進めるか専門家に依頼するかはご自身で決める部分ではありますが、お金と時間および手間のどちらを大切にするか、費用対効果をしっかり考えて決めなければなりません。
もし専門家に依頼することで会社設立の時間を事業のために充てることができるとしたら、売上が大きくなり専門家への報酬以上の金額を得られるかもしれません。
事業拡大や売上向上見込みがあり時間が惜しいのであれば、専門家へ依頼する方が結果としてお得な可能性があります。
一方で、依頼報酬分の金額が惜しいという人や時間にそれなりの余裕がある人は、専門家に依頼するメリットがあまり感じられないかと思いますので自分で進めたほうがお得です。
金額の絶対値だけでなく手間や時間などをトータルで考えたうえで、会社設立を自分で進めるか専門家に依頼するかを決める必要があります。